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高気密高断熱住宅を建てたいと思っているあなたは、きっとC値が気になるはず。
今回は、我が家のC値の実測例を紹介しつつ、実はとても重要な「n値」の解説もしていきます。
私の場合は、測定の詳細レポートを引き渡し後に受け取ったことが原因で、後悔したこともありました。
そのこと関連して測定業者さんに色々と問い合わせてみた結果など、詳細に書いていきます。
じっくり読んでもらえれば、気密測定で後悔しない方法が分かるようになります。
この記事で分かること
- C値の概要
- n値の重要性
- アイ工務店で建てた家の気密測定結果
- 後悔しない気密測定をする方法
C値の概要
まずはC値について説明し、目指すべき数値と高気密住宅にすべき理由について書いていきます。
C値とは
初めに、C値とは「住宅における相当隙間面積」のこと。
建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値です。
つまり、家全体の面積のうち、隙間の面積の大小を表しています。
そのため、C値が大きい(悪い)と隙間の面積が大きく、気密性能の低い家ということになります。
C値の高気密住宅と言える目安
それでは、C値はどのくらい以下になれば高気密住宅といえるのでしょうか?
明確な基準は無いようですが、一般的には1.0以下であれば高気密と言えるみたいです。
アイ工務店で1.0を超えるような家は聞いたことありませんが、気密性を気にしていないハウスメーカーでは2や3という数字も出ることがあります。
詳しくは後で書きますが、我が家のC値は0.47でした。
0.3以下になるお宅も少なくないみたいです。
できれば0.5以下を目指したいですね
C値が低い(良い)ことのメリット
ところで、C値が低い高気密住宅に住むメリットとは何でしょうか?
色々ありますが、個人的には以下の4点が重要だと思っています。
- 冷暖房費の節約
- 温湿度を一定に保ちやすい
- 計算値通りの換気を行える
- 遮音性能が高い
簡単に説明していきます。
冷暖房費の節約
C値が低く気密性が良い場合は室内と外に通じる隙間が小さいので、冬の冷たい外気や夏の熱い空気が家の中に入りにくくなります。
そのため、外気温の影響を受けにくく、過ごしやすい室内環境を実現できます。
温湿度を一定に保ちやすい
高気密であれば、温度だけでなく湿度も一定に保ちやすいです。
梅雨のじめじめした空気や冬の乾燥した空気が不必要に侵入してくるのを防ぐことができるからです。
計算値通りの換気を行える
外気が家の中に入ってきてほしくないとはいえ、一定程度は換気しなければなりません。それを行うのが熱交換機能付きの24時間換気システムです。
この換気量は完全に気密がとれている前提で換気量が計算されていますので、家の気密が悪いとその分不必要に外気が入ってきてしまうことになります。
遮音性能が高い
気密が高いということは、外に通じる穴が少ないということ。
つまり、外の音が入ってきにくいし、逆に家の中の生活音が漏れにくくなります。
車通りの多い場所に家を建てる場合やお子さんのいる家庭にとっては嬉しいですよね。
気密測定の原理
ここからは、気密測定について詳しく書いていきます。
実は、どの住宅にも色々な形をした小さなすき間が無数にあります。
それを測ることを可能にしているのが、気密測定器です。
たとえば、こちらのバズーカのような機械です。
気密測定の原理は単純です。
まず、バズーカのような送風機を出来るだけ小さな窓やドアに設置。
その後、送風機で家の中に空気を送り込むか、逆に排出すると、外気と住宅内で圧力差が生じます。
このとき、送風機で送り込んだ空気の量と、圧力差をいくつかの条件で測定して、隙間の大きさや合計面積を求めることが出来ます。
我が家の測定結果【C値0.5以下達成】
では、ここで我が家の実際の測定結果と、レポートを見てみましょう。
我が家のC値は0.47だったので、まずまずの結果。
家を建てる前はC値はできれば0.3以下、悪くても0.5以下になるといいな~と思っていたので、妥協できる結果ではありました。
そして、引き渡し後にもらった測定の詳細レポートがこちら。
どのような環境で、誰が、どんな条件で測ったのかが書かれています。
特に着目すべき結果は以下の箇所。
測定圧力差ΔPと通気量:①19.6(183)②31.8(223)③39.8(265)
隙間特性値n:1.98
隙間相当面積C:0.47
C値はいいとして、
- 測定圧力差ΔPの測定点が3つしかない
- 隙間特性値が上限の2に限りなく近い
という2点が気になります。
このポイントについて、測定を行った会社に問い合わせてみた結果を報告します。
測定圧力差ΔPの測定点が3つしかないことについて
気密の測定は、家の中と外で圧力差を作り出すことで求めます。
その時、1点だけの結果ではなく、いくつかの圧力差で測定を行った結果から算出します。
JIS規定(送風機による住宅等の気密性能試験方法)や気密測定器の取り扱い説明書によると、「5点以上測定する」ように定められています。
なのに、我が家の場合は3点しか測っていません。
これでいいのか疑問なので、測定した会社に聞いてみました。
JISにも取り扱い説明書にも5点以上測定と書いていますが、3点しか測定していません。問題ないのでしょうか?
15年の経験上、5点測定と3点測定にほぼ違いは出ないものと認識しています。
JISによる測定をしていると書いているのに、3点測定は精度が良くないのでは?
気密測定の研修時に3点測定で問題ないと教わっています。風の影響もなくエラーも出ていないので問題はありません
ということで、「5点でも3点でも結果が変わらないんだから、問題ないよ。」ということです。
全く納得できませんが、これ以上話しても埒が明かないので、ここで追及は終わりにしました。
いまだにモヤモヤするので、これから測定してもらうあなたは、念のため5点測定してもらうように依頼しましょう。
隙間特性値nが上限に2に近いことについて
隙間特性値nについて、詳しく書いたブログなどはほとんど見当たりません。
でも、実はこの数値も実はかなり重要。
隙間特性値nの正体ついては次の項目で書きますので、ここでは、上限の2に近いことが問題ないのか聞いてみた結果を紹介します。
隙間特性値nが1.98で2に近いのですが、測定点を増やした場合や複数回測定を行うと2を超えて測定エラーになるのでは?
たしかに2に近い結果ですが、測定自体は正常終了していて、3点の測定点が測定線からずれることなく測定できています。そのため、結果に不備はありません。
とのことでした。
「3点の測定点が測定線からずれていない」とは、結果をグラフにした際のプロットと近似直線のずれのことです。
このときの直線の近似性(どれだけ近似直線に信頼性があるか)を現す決定係数r2は0.968でした。
JIS基準では0.98未満の場合は測定やり直しと決められているので、この基準に照らせば測定結果に妥当性がないのでやり直しと定められています。
ただし、これはあくまでJIS規定に沿って実施した場合ということなので、今回測定を行った会社では問題ないと独自の基準で判定しているということです。
隙間特性値nについて
n値の範囲
実は、隙間特性値nは大きな意味がある数字。
何故ならば、n値は「隙間の大きさ」に対応しているからです。
隙間が大きければ大きいほどn値も大きくなり、数値は1~2の範囲に収まります(この範囲外では測定NGとなり測定やり直し)。
n値が低い方が隙間が小さいことを示すので、できるだけ1.0に近い方が好ましいとされます。
逆に、n値が2.0に近いと、大きな隙間があるため、何か大事なことをし忘れているような施工不良が疑われます。
色々な方の測定結果を見ると、1.1~1.5くらいの結果が多いようです。
やはり我が家の測定結果1.98はかなり高かったですが、浴槽のエプロンがしっかりはまっていなかったためかも。今となっては分かりませんが。。。
n値の求め方
では、隙間特性値nはどうやって求めるのでしょうか?
それは、先ほどのグラフ(通気量と圧力差の両対数グラフ)の傾きの逆数から求めます。
例として、我が家の実測結果と、n値が1と2の場合のグラフを図にしてみました。
n値が1の場合はグラフの傾きが大きく、2の場合は小さくなります。
我が家の測定結果(n値1.98)はn値の2の場合とほぼ一致してしまっています。
ほぼ測定NG領域ということですね。
n値の算出について詳細は省略しますが、詳しく知りたい方は私または測定会社に聞いてみてください
グラフの傾きが違うことの意味
n値は先ほどのグラフの傾きの逆数に対応しています。
では、このグラフの傾きとは何を現しているのでしょうか?
前提は次の通りです。
- グラフの横軸は圧力差ΔP、縦軸は通気量Q
- 圧力差は家の中と外の圧力の差、通気量はバズーカみたいな測定器の風量
- 測定は通気量を変えていき、その時の圧力差を測ることで行う
つまり、
グラフの傾きが大きい(n値が小さい)場合
⇒通気量を増やしても圧力差は大きくなりにくく、
反対に、傾きが小さい場合(n値が大きい)場合
⇒通気量を変化させた際の、圧力の変動が大きいということになります。
隙間の大きさによってグラフの傾き(n値)が違う理由
グラフの傾きが違うことは、通気量を変えた場合の圧力差の変動量が違うということをお分かりいただけたでしょうか。
では、なぜこのような違いが生じるのでしょうか?
それは、隙間の大きさが違うからに他なりません。
次の図は、隙間が小さい(n値低い)場合と、大きい(n値低い)場合(どちらも合計面積は同じ)に、通気量を変えた場合を現しています。
気密測定時の通気量が小さい場合は、隙間が小さくても大きくても、空気の流れは層流といって、スムーズな無駄のない流れになっています。
一方、通気量が大きい場合は、隙間が小さければ層流ですが、隙間が大きいと乱流になります。
乱流になると、空気の流れが乱れて渦を巻いたりしてエネルギー損失が発生します。
そのため、通気量を大きくしても、それほど圧力差が生まれないということになります。
これにより、隙間が大きいほど通気量と圧力差のグラフの傾きが小さくなる(n値は大きくなる)ことになります。
C値とn値の関係
ここまでの説明で、n値が大きいほど隙間が大きいということを理解していただけたかと思います。
続いて、私たちが最も気にする数値であるC値(隙間相当面積)との関係性を見ていきます。
まずは、こちらの画像を見て下さい。
C値の大小、n値の大小を青い〇(隙間)で表現しています。
理想的なのは、画像左上のC値もn値も低い状態。
気密性が高く、不可避の小さな隙間が分散しています。
反対に最悪なのは、画像右下のC値もn値も高いもの。
大きな隙間があり気密性も低いので、高断熱高気密住宅とは言えなくなりますね。
C値とn値の両方が大事
ここまでをまとめると、n値は隙間の大きさに対応し、C値は隙間の合計面積(数×大きさ)に対応していることが分かりました。
どちらかの数字が悪いと良くないので、両方の数字を気にした方がいいですね。
最近のアイ工務店は仕様変更にともない、さらに高気密高断熱性を向上させているようです。
ただし、n値は大工さんの腕次第のところも大きいです。
大きな隙間がないように、しっかりと精度の高い施工をしていただきたいところ。
ただし、もし施工に不備があったとしても、施工途中に気密測定を行うことで、不良箇所を発見できる可能性が高いです
それはどういうことか、説明していきます。
中間検査は不良箇所を見つけるきっかけになる
気密測定には、施工途中に行う「中間検査」と、家が完成した時点で行う「完成検査」があります。
中間検査は吹付断熱が終わった段階で行うことが多いです。
どちらにもデメリットとメリットがありますので、こちらの表で整理してみました。
中間検査はその時点での性能検査なので、最後まで施工した場合の性能は分かりません。
ただし、検査時点(石膏ボードで壁を塞ぐ前)での気密性能が分かりますので、想定外にC値やn値が悪い場合は対応が可能です。
一方、完成検査の場合は、実際に住む家の性能が分かるものの、数字が悪かった場合に修正工事をすることが原則として不可能です。
JISでは基本的に完成状態で測定することが推奨されていますが、決まりは特にないようです。
理想としては、中間検査と完成検査のどちらも行いたいところですが、費用もかかりますし、スケジュール調整が大変かもしれません。
どちらか一方の場合は、施工不良を見つけるためにも中間検査がおすすめです。
まとめ:後悔しない気密測定を行う方法
気密測定には中間検査と完成検査の2パターンがありますが、どちらかだけであれば、吹付断熱後の中間検査を実施しましょう。
その際は、ただ結果を眺めるのではなく、次のポイントを意識してみましょう。
- n値はいくつか(1に近いほうが好ましい)
- C値は他の施主と比べてどうか(低い方が良い)
- 測定点は5回か(我が家は何故か3回だったので精度が不安)
もし気密漏れがある場合、測定業者に尋ねればどこからもれているか、大方予想できるそうです(業者さんとのメールのやり取りをしていたら教えてくれました)。
測定当日はぜひ立ち会って、後悔のない気密測定を行いましょう!