土地から買ったので、家が完成する前に土地代を決済しました。使ったのはつなぎ融資ではなく、0.44%の住宅ローンを分けて実行する方法です。
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土地を先に買って注文住宅を建てる場合、家が1本の柱も立っていない段階で、土地代を払わなければなりません。
住宅ローンは家が完成してから実行されるものだと思っていたので、この順番を知ったときは戸惑いました。手元にそんな現金はありません。
調べると出てくるのは「つなぎ融資」という言葉ばかりでした。ただ、我が家が使ったのはつなぎ融資ではありません。
この記事は、土地の分をどう借りて、家が建つまでに何をどの順番で払ったかの記録です。金利の水準は銀行や時期で変わるので、金額の正解を示すものではありません。

家が建つ前に土地代を決済する理由
土地の名義を自分に移さないと、その土地に家を建てられないからです。
三井住友銀行は、注文住宅について「建物着工前に土地所有権の移転登記および土地代金の決済が必要になります」と公式サイトに書いています。順番を選べるわけではなく、そういう仕組みになっています。
同じページには「建物部分が完成していない状況でご利用できる住宅ローンは『土地先行融資』となります」とあります。つまり、通常の住宅ローンとは別の枠組みが要るということです。
我が家も土地から購入しました。住宅ローンの本審査を通してから土地代金を決済する、という順番で進んでいます。住宅ローンの増額を断られた記録に、そのときの順番を書いています。
ロコズ家より先に土地の代金を払う日が来るとは思っていませんでした。


土地の資金を先に借りる3つの方法
呼び方が3つあり、金利の扱いと返し方が違います。
つなぎ融資は、住宅ローンとは別に組む短期の借入です。土地先行融資と分割融資は、住宅ローンそのものを分けて実行する形になります。
分割融資は「分割実行」とも呼ばれます。土地先行融資は、その分割融資のうち土地の分を先に実行するものを指します。
| 借り方 | 金利の扱い | 完成前の支払い |
|---|---|---|
| つなぎ融資 | 住宅ローンとは別枠 | 商品による。元本と利息をまとめて後払いする例がある |
| 土地先行融資 | 住宅ローンと同じ | 実行した分の返済が始まる |
| 分割融資(分割実行) | 住宅ローンと同じ | 実行した分の返済が始まる |
三井住友銀行は土地先行融資について「通常の住宅ローンと金利は一緒です」と明記しています。ここが、つなぎ融資といちばん大きく違う点です。
分割実行を選んだ地方銀行Aの条件
我が家は分割実行を選び、地方銀行Aで借りました。
先に押さえておきたいのは、この借り方を扱っていない銀行があることです。三井住友銀行も「『土地先行融資』の取扱いがない金融機関もある中、当行ではお取組が可能です」と書いています。
我が家がネット銀行を外したのも同じ理由でした。土地から買う場合はネット銀行の難易度が上がるため、大手銀行か地方銀行に絞っています。
いくつかの銀行に仮審査を出し、いちばん金利が低かった地方銀行Aに決めました。提示は0.49%で、そこから交渉して0.44%まで下がっています。経緯は住宅ローン金利の引き下げに成功した交渉方法に書きました。
その記事では、土地のためのお金を先に借りた話を「詳しくは書きませんが」で止めていました。今回はそこを開けます。
扱いの有無も金利も銀行ごとに違うので、1行だけ当たって決めるのは危険だと感じました。仮審査は複数に出したほうが、比べる材料が増えます。
完成まで払い続けた土地分の金利
家が完成するまでの間、払っていたのは土地の分の金利だけです。
分割実行なので、土地代を決済した時点で住宅ローンの一部が動き出しています。動き出した分について、利息の支払いが始まりました。
建物の分はまだ実行されていないので、そちらの返済はありません。家賃と土地分の金利が並ぶ期間があった、ということになります。
体感としては、一般的なつなぎ融資より低い金利で済んでいました。住宅ローンの枠組みの中で借りているぶん、別枠で借りるより有利だったと考えています。
土地の分に適用された利率そのものと、支払った利息の総額は手元に残っていません。この記事では「金利だけを払い続けた」という事実までにとどめ、金額は書きません。
つなぎ融資との違いは金利と返し方
つなぎ融資は住宅ローンとは別の金利で、完成後にまとめて返す形が一般的です。
ドコモがフラット35の利用者向けに出しているつなぎ融資は、金利を「短期プライムレートに年1.0%を加算した割合」と定めています。
事務手数料は110,000円(税込)です。住宅ローン側の手数料とは別に必要になります。
返し方も違います。同じ商品では、元本と利息を「本体貸付けの融資実行金による一括返済」とされています。家が完成して住宅ローンが下りたときに、まとめて清算する仕組みです。
短期プライムレート=銀行が信用力の高い企業に1年以内で貸すときの基準金利です。日本銀行が主要行の値を公表しています。


その短期プライムレートが、いま動いています。2009年から1.475%のまま据え置かれていました。
動き始めたのは2024年の秋です。そこから段階的に上がり、直近は2.375%になりました。
基準が上がれば、それに連動する商品の金利も上がります。つなぎ融資の負担は、数年前の体験談で語られていたものより重くなっている可能性があります。
我が家の0.44%は地方銀行Aの住宅ローンの金利、短期プライムレートは主要行の基準金利で、別の商品の別の数字です。この2つを直接引き算して「いくら得をした」と語ることはできません。
建物の支払いは契約金から数えて4回
建物の代金は、契約金・着工金・中間金・最終金の4回に分けて払いました。
この4回という区切りは、我が家だけの特殊な決め方ではありません。国土交通省が示す民間建設工事標準請負契約約款(乙)の契約書のひな形も、同じ形をしています。
発注者は請負代金を次のように受注者に支払う。
この契約成立のとき ○割
部分払 第一回 ○割
部分払 第二回 ○割
完成引渡しのとき ○割
契約時に1回、工事の途中で2回、引渡しで1回。合わせて4回という組み立てです。呼び名は会社によって変わりますが、区切りの数は揃っています。
ただし3回のところもあります。三井住友銀行が土地先行融資の手続きを説明するときに使っている例は「着工金・上棟金・完成金の3回のケース」でした。
分割実行を使うなら、この回数が実行の回数に影響します。契約前に何回に分かれるのかを確かめておくと、銀行との段取りが組みやすくなります。


土地から買う人は注文住宅の約2倍
土地から買う人のほうが多数派です。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査では、土地も一緒に借りた人を「土地付注文住宅」、建物だけを借りた人を「注文住宅」として分けて集計しています。
| 区分 | 集計件数 | 土地取得費の平均 |
|---|---|---|
| 注文住宅(土地は借りていない) | 3,889件 | 集計なし |
| 土地付注文住宅(土地も借りた) | 7,733件 | 1,575.3万円 |
土地付注文住宅は7,733件、注文住宅は3,889件でした。
土地も一緒に借りた人のほうが、およそ2倍多い計算になります。土地代を先に用意する段取りは、例外的な話ではありません。
それにしては、この順番を説明している記事が少ないと感じました。制度の名前を並べたものは多いのですが、実際に何をいつ払ったかが見当たりません。
土地を先に買うと増える書類と費用
手続きが土地と建物で2回に分かれるぶん、書類も費用も増えます。
まず登記です。土地を買った時点で所有権の移転登記と抵当権の設定登記が必要になり、建物が完成すればそちらの登記も発生します。
我が家がハウスメーカーから最初にもらった見積書には、所有権移転登記費用と土地購入時の抵当権費用として30万円が計上されていました。アイ工務店と初面談時の見積もりと坪単価に載っている概算です。
銀行の手数料も回数ぶんかかることがあります。三井住友銀行は「お借り入れの都度、ご融資金額に対して2.2%(消費税込)の銀行手数料がかかります」としています。
住宅ローン控除に必要な書類が増える
土地の分を控除に入れるなら、土地の書類を別に用意します。
国税庁のタックスアンサーNo.1211-1は、控除の対象になる借入金に「住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます」と定めています。
そのうえで、土地について控除を受ける場合は土地の登記事項証明書と、売買契約書の写しなど取得対価が分かる書類を求めています。建物だけの人より提出物が増えるということです。


先に実行すると総額を増やせない
いちばん痛かったのは、あとから借入額を増やせなかったことです。
土地代を決済したあと、打ち合わせを重ねるうちに建物の総額が膨らみました。銀行に相談したところ、住宅ローンの増額はできないので別のローンを組むように、という回答でした。
結果として、足りない分は住宅ローンより高い金利で借りることになりました。追加のローンの金利は1.98%です。
住宅ローンのほうは0.44%で、保証料を含めると0.64%でした。
総額でいくら違ったかは、住宅ローンは年収の5倍まで?実測は6.9倍で計算しています。
土地を先に決済する場合は、建物の総額が固まる前に枠を使い切らないこと。あとから増やせるかを、決済の前に銀行へ確認しておくべきでした。
三井住友銀行は土地先行融資に「建物の着工は土地ローンの実行から12ヵ月以内」「建物の竣工は土地ローンの実行から24ヵ月以内」という期限も置いています。土地を買ってから間取りをゆっくり考える、という進め方はできません。
我が家1棟の記録にとどまる限界
この記事で書けることには、はっきりした限界があります。
急ぐ方は次の見出しまで飛ばしてください。ここは、この記事の数字がどこまで一般化できるかの話です。
①土地の分に適用された利率と、支払った利息の総額は手元に残っていません。「金利だけを払い続けた」という事実までしか書けません。
②地方銀行Aの商品名・手数料・実行条件は公開していません。記事に載せた条件は三井住友銀行とドコモが公式に示しているもので、我が家が契約した内容ではありません。
③0.44%は2022年に契約した金利です。短期プライムレートが2024年9月から4回上がっているので、いま同じ条件で借りられるとは限りません。
④フラット35利用者調査の「土地取得費」に仲介手数料などが含まれるかを確認できていません。1,575.3万円は参考値として置いており、我が家の金額とは並べていません。
⑤私はファイナンシャルプランナーではありません。借入の判断は、金融機関や専門家に相談してください。
土地の購入金額も書いていません。逆算できる形にしたくないので、この記事では利率と回数だけを扱っています。
よくある質問
- つなぎ融資と分割融資は何が違いますか
-
つなぎ融資は住宅ローンとは別枠の短期の借入で、金利も別に決まります。分割融資は住宅ローンそのものを複数回に分けて実行するもので、三井住友銀行は土地先行融資について「通常の住宅ローンと金利は一緒です」としています。
- 土地先行融資はどの銀行でも使えますか
-
使えません。三井住友銀行は「『土地先行融資』の取扱いがない金融機関もある中、当行ではお取組が可能です」と書いています。我が家も、土地から買う場合はネット銀行の難易度が上がるため候補から外しました。
- 家が完成する前から返済は始まりますか
-
分割実行では、実行された分について支払いが始まります。我が家は家が完成するまで、土地の分の金利を払い続けました。つなぎ融資は商品によって扱いが異なり、元本と利息を住宅ローンの実行時に一括で返す形もあります。
- 土地の分も住宅ローン控除の対象になりますか
-
国税庁は、控除の対象になる借入金に「住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます」としています。ただし土地の登記事項証明書や売買契約書の写しなど、提出する書類が増えます。
土地先行融資と分割実行のまとめ
土地から買うと、家が建つ前に土地代の決済が来ます。
- 建物の着工前に、土地の移転登記と決済が必要になる
- 借り方は3つ。つなぎ融資だけが住宅ローンと別枠の金利になる
- 我が家は分割実行を選び、完成まで土地の分の金利を払い続けた
- 建物の代金は契約金・着工金・中間金・最終金の4回に分かれた
- 取扱いのない銀行があるので、仮審査は複数に出したほうがよい
- 先に実行すると、あとから住宅ローンの総額を増やせないことがある
いちばん伝えたいのは最後の1行です。土地代を決済する前に、建物の総額が動いたときどうなるかを銀行に聞いておいてください。
扱いの有無も金利も銀行で違いました。1行ずつ窓口を回るより、条件を並べてから絞るほうが早いです。
出典一覧
- 三井住友銀行「土地先行融資」
- ドコモ「住宅ローン(フラット35)つなぎ融資」
- 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」短期プライムレート最頻値/2026年8月12日現在
- 国土交通省「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」令和4年9月2日改正
- 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」Ⅱ主要指標/2026年7月24日公表
- 国税庁「タックスアンサー No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」
- 取得日:三井住友銀行・ドコモ・日本銀行・国土交通省は2026年9月4日、住宅金融支援機構は2026年8月8日、国税庁は2026年8月28日
