土地が決まる前に候補地の住所を伝えて間取りを頼んだところ、7社のうち描いてくれたのはおよそ半分でした。
残りは「どうせ後で変わる」と言って断りました。描いてくれた側の会社と契約しています。
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- 土地が決まる前に7社へ頼んで、返ってきたものが3通りに分かれたこと
- 住所と地番を伝えると、会社が何を調べられるようになるのか
- 見積書に地盤改良の費用が定額で入っていた理由
- 無料でもらう間取りが、法律上どういう位置づけなのか

家を建てようと思っても、土地が決まっていないと動きにくいものです。
調べると「間取りは土地が決まってから」「土地が未定では正確な見積もりは出せない」と書かれています。理屈は分かります。
ただ私は、土地が決まる前に7社へ間取りを頼みました。そしてそこで会社がふるいにかけられました。
7社のうち間取りを描いた3〜4社
同じ候補地を伝えても、返ってくるものは会社によって違いました。
私は7社から見積もりを受け取っています。
そのうち、候補地に合わせた間取り案まで描いてくれたのは3〜4社でした。
| 返ってきたもの | 社数 | 言われたこと |
|---|---|---|
| 候補地に合わせた間取り案 | 3〜4社 | 2か所ぶん描いた会社もあった |
| 過去の別の家の間取りと概算 | 会社による | この場合はいくらくらいになる |
| 断り | 残り | 土地が決まらないとどうせ後で変わる |
7社という数と、そこから絞り込んだ経緯はハウスメーカーは何社まわる?にまとめています。
結果として、私が契約したのは間取りを描いてくれた側の会社でした。
ロコズ土地が決まっていないから何もできない、と思い込んでいたのですが、実際には会社のほうを先に絞れていました。
候補地の住所と地番まで伝えた依頼
渡したのは希望条件ではなく、実在する土地の場所でした。
土地情報を載せているサイトを営業と一緒に見て、その時点での第一候補を伝えました。伝えたのは住所と地番です。
つまり会社の側には、実在する敷地の情報が渡っていました。条件の希望を口で言っただけの状態とは違います。
そのころの土地探しの様子は土地探しに一番時間を食ったに書きました。現地まで見に行った土地は20件を超えています。
土地を買うところから始める人が多数派
土地から探す人は珍しくありません。国の調査にも出ています。
国土交通省の令和7年度 住宅市場動向調査によると、注文住宅を新築で建てた世帯のうち、敷地を「購入した」と答えた割合は68.7%でした。
同じ調査で、敷地を取得した時期は「1年前」がもっとも多く60.6%です。土地を手に入れてから建てるまでの間隔は、思ったより短いことになります。
急ぐ方は次の見出しまで飛ばして構いません。この「1年前」は年数を引き算した値ではなく、調査票が年度で聞いた選択肢です。調査の対象は令和6年4月から令和7年3月に建築などを行った世帯なので、土地の取得と建築がほぼ同じ時期に収まっている世帯が多い、という読み方になります。注文住宅の有効回収は735件、回収率は40.9%です。
敷地が決まれば決まる家の大きさの上限
場所が決まれば、建てられる家の上限は法令のほうで決まります。
建築基準法は、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。建てられる面積の上限も同じ法律にあります。
建蔽率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ面積の割合です。どちらも都市計画で地域ごとに定められた数値を超えられません。
さらに前面道路の幅員が12メートル未満のときは、その幅にもとづく上限が容積率に重ねてかかります。道路の広さが家の広さを縛るということです。


ここまでが、住所と地番が分かった時点で会社の側が引ける情報です。
掘らないと分からない地盤と造成
一方で、書類からは決まらないものもあります。
地盤が弱いかどうかは、実際に調べてみないと分かりません。土を入れ替えたり擁壁を作ったりする必要があるかも、現地を見ないと判断できません。
「土地が決まらないと見積もりが出せない」と説明されるとき、理由に挙げられるのはたいていこの部分です。
見積書に定額で入っていた地盤改良管理費
私の見積書には、地盤改良の費用が11万円で載っていました。
初回の面談でもらった見積書の「その他予備費用」に、地盤改良管理費として110,000円が入っています。実額はアイ工務店と初面談時の見積もりと坪単価で公開しました。
この11万円は工事費そのものではなく、保険の掛け金にあたるものだと説明を受けました。どんな地盤改良が必要になっても、施主の負担がこの額を超えない仕組みです。
つまり、見積もりが出せない最大の理由とされている地盤の不確実さが、商品の作り方のほうで先に潰されていました。だから土地が決まる前でも総額が動きませんでした。
私は当時、地盤改良の金額が読めないままでは資金計画を立てようがない、と書いています。困っていた問題に、契約前の段階ですでに答えが用意されていたことになります。
急ぐ方は次の見出しまで飛ばして構いません。これは2021年から2022年にかけて、私が1社から受けた説明です。同じ仕組みが今も続いているかは確認していません。保険の証券を私自身が読んだわけでもありません。ほかの6社が同じ扱いをしていなかったかどうかも、確かめていません。
「どうせ後で変わる」という断りの言い分
描かなかった会社は、土地が決まっていないことを理由にしました。
言われたのは「土地が決まっていないと、どうせ後で変わってしまう」でした。そう言われて、話がやんわりとかわされます。
なかには、過去に建てた別の家の間取りを持ってきて「この場合はいくらくらいになる」と教えてくれた会社もありました。これはこれで、金額の感覚をつかむ役には立ちました。
私の受け取り方:正直なところ、間取りを考えるのが面倒なだけではないかと感じました。ただしこれは私がそう感じたというだけで、会社の事情を確かめたわけではありません。
断った側の言い分は事実として正しい
公平に見て、断った会社の説明は間違っていません。
私は実際に、土地が決まったあとで間取りを描き直してもらっています。土地が変われば家も変わるという読みは当たっていました。
それでも、私が欲しかったのは完成する図面ではありませんでした。比べるための材料です。
候補地2か所で別の家になった間取り案
同じ会社でも、土地が変わると違う家を出してきました。
候補地を2か所伝えたところ、その両方の間取り案を作ってくれた会社がありました。
最終的に契約したアイ工務店も、そのうちの1社です。
並べてみると、2つの案はだいぶ違う家になっていました。部屋の並びも、光の入り方も、同じ会社の提案とは思えないほど変わります。
この差が見られたことが、いちばんの収穫でした。土地が家の形を決めていることが、図の上で分かったからです。
会社を横に並べる比べ方と、土地を横に並べる比べ方の両方ができたのは、どちらも決まっていない時期だったからだと思っています。
全部の会社から間取りが届くわけではありません。私の7社もはっきり分かれました。ただ、届かないこと自体が会社を見分ける材料になります。
建築士法が分ける設計と営業段階のプラン
無料でもらう間取りは、確認申請に出す設計図書とは別のものです。
建築士法は「設計図書」を、建築工事の実施のために必要な図面と仕様書と定めています。そして「設計」を、その者の責任において設計図書を作成することと定めています。
営業の段階で見せてもらう間取り案は、工事を実施するための図面ではありません。責任を負う人がまだ決まっていない図だと考えると分かりやすくなります。
実際の設計になると話が変わります。木造で延べ面積が100平方メートルを超える家を新築する場合、建築士でなければ設計も工事監理もできません。
我が家は45坪前後なので、この線を超えています。営業段階のラフな間取りと、免許を持つ人が責任を負う設計は、そもそも別の作業だということです。
建築士法は、国土交通大臣が報酬の基準を定めることができるとしています。現行は令和6年国土交通省告示第8号です。
その基準では、報酬を業務経費と技術料等経費と消費税の合計で算定するとしています。業務経費のうち直接人件費は、業務に従事する人の1日当たりの人件費に、従事した延べ日数を乗じて求めます。
つまり設計は、人が何日働いたかで値段がつく仕事です。無料の間取りは、その費用を会社が営業の費用として引き受けている、という見方ができます。
正式に設計を頼む段階になると、書面が出てきます。建築士事務所は、作成する設計図書の種類や報酬の額と支払の時期を書いた書面を交付して説明しなければならない、と定められているからです。
無料の間取りは、その手前にあります。受け取っても、何かを約束したことにはなりません。
土地決定後に作り直しになった間取り
土地が決まったあと、間取りは一から描き直しになりました。
買った土地は、候補として見せていた土地とは形も向きも違いました。間取りが変わるのは当然です。
それでも、土地が決まる前に頼んでよかったと思っています。理由は、いろいろな間取りを見られたからです。
会社ごとの考え方の差も、土地ごとの制約の差も、図を並べて初めて見えました。決まってから1社に頼んでいたら、比べる相手がいません。
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作り直しになった図面が無駄だったとは思いません。あの数枚があったから、任せる会社を選べました。
土地探しに時間がかかったぶん、会社選びのほうは先に進んでいました。その時期の記録が次の記事です。


我が家1軒の記録にとどまる限界
急ぐ方は次の見出しまで飛ばして構いません。
これは2021年から2022年にかけての、我が家1軒の記録です。同じ会社が今も同じ対応をするとは限りません。
- 間取り案を描いた社数は「3〜4社」と幅で書いています。当時のメモが残っておらず、記憶にもとづく概数です
- どの会社が描いて、どの会社が断ったかは書いていません。確かなのは、契約したアイ工務店が描いた側だったことだけです
- 断った会社の事情を聞き取ったわけではありません。理由についての記述は私の受け取り方です
- 地盤改良管理費の仕組みは1社から受けた説明です。ほかの6社の扱いは確認していません
- 候補地の場所や価格は書いていません。個人が特定されうるためです
- 住宅市場動向調査の数値は全国の集計で、注文住宅の有効回収は735件です。地域や会社の規模によって事情は変わります
土地を探しながら会社を見る3つの順番
同じことをするなら、順番はこの3つになります。
- 買う土地ではなく、候補の土地で頼む。実在する場所を1つ決めて、住所を伝えます。希望条件だけを口で言うより、返ってくるものが具体的になります
- 同じ候補地を全社に伝える。会社ごとに条件を変えると、出てきた案の差が土地の差なのか会社の差なのか分からなくなります
- 返ってきたものの違いを、そのまま判断材料にする。描く会社、事例で答える会社、断る会社に分かれます。分かれること自体が情報です
描いてもらったあとで断るのが気まずい、という心配もあると思います。私は6社に断りの連絡を入れましたが、引き止められた会社はありませんでした。


なお、会社に情報を渡すのは間取りの依頼に限った話ではありません。予約なしで住宅展示場に行ったときも、3社ともアンケートで年収と勤務先を書かされています。
よくある質問
- 土地が決まっていなくても間取りは頼めますか
-
会社によります。私が7社に頼んだときは、候補地に合わせた間取り案まで描いてくれたのが3〜4社で、残りは断りました。断られても、頼み方が悪かったわけではありません。
- 無料でもらった間取りでそのまま建てられますか
-
建てられません。建築士法でいう設計図書は、工事の実施のために必要な図面と仕様書を指します。営業段階の間取り案はそれとは別のもので、私も土地が決まったあとに描き直してもらいました。
- 描いてもらってから断るのは失礼になりませんか
-
私は7社のうち6社をメール中心で断りましたが、引き止められた会社は0社でした。気が重いのは事実ですが、相手が怒るという経験はしていません。
- 候補地の情報はどこまで伝えればいいですか
-
私は住所と地番まで伝えました。場所が分かると、用途地域や建蔽率、容積率、前面道路の幅員が確認できるので、そこから間取りが描けるようになります。
土地が決まる前の間取り依頼のまとめ
土地が決まるのを待たなくても、会社選びは進みました。
- 候補地の住所と地番を7社に伝えたところ、間取り案まで描いたのは3〜4社だった
- 場所が分かれば建てられる家の上限は法令で決まり、読めない地盤の費用は定額に置き換えられていた
- 間取りは土地決定後に描き直しになったが、会社を選ぶ材料としては最後まで効いた
「どうせ後で変わる」という言い分は正しかったのですが、私が求めていたのは変わらない図面ではありませんでした。並べて比べられる図でした。
1社だけに頼んでいたら、その案が良いのか悪いのかを判断できません。複数の会社に同じ条件を出したから、返ってきたものの差が見えました。
出典一覧
- 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」(令和8年7月公表)問10 敷地の取得方法/問10-1 敷地の取得時期/1.6 回収状況
- e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号)第43条第1項/第52条第1項・第2項/第53条第1項
- e-Gov法令検索「建築士法」(昭和25年法律第202号)第2条第6項/第3条の3第1項/第24条の7第1項/第25条
- 国土交通省「設計、工事監理等に係る業務報酬基準」令和6年国土交通省告示第8号(令和6年1月9日公布・即日施行)第一/第二イ
- いずれも2026年9月10日に取得しました
