入居2か月後の家屋調査で、石目柄のフローリングを石材と見られました。叩いた音で説明して、その場で納得してもらった記録です。
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家が完成してしばらくすると、市役所から「家屋調査に伺いたい」と連絡が来ます。
何をされるのか、断れるのか、余計なことを言うと不利になるのか。私は当日まで分かっていませんでした。
実際には、こちらから説明したほうがよい場面がありました。我が家では、床材が石だと思われかけたところを、その場で伝えて直してもらっています。
- 家屋調査で何を見られたか。所要時間と人数
- 我が家の固定資産税は家屋分でいくらだったか
- 床材で評価が変わる根拠が、どの資料のどこに書いてあるか
- 施主が説明することを、法律がどう位置づけているか
- 軽減が何年で終わり、いくら上がるのか

家屋調査で床を石と間違われた1時間
調査は1人で来て、1時間ほどで終わりました。
我が家が入居したのは2022年12月です。市役所の担当者が来たのは、その2か月ほどあとでした。
持っていたのは設計図でした。図面を見ながら、書かれているとおりに造られているかを部屋ごとに確かめていく。そういう進み方です。
止まったのは床でした。
ロコズこの床は石ですか
我が家の1階は、ぱっと見ると石に見える床材を使っています。石目柄のフローリングです。
担当者は石材だと受け取ったようでした。そのままだと、評価が高いほうの区分で計算されます。
私が伝えたのは「石目柄のフローリングです」の一言です。あとは床を叩いてもらいました。石とフローリングでは音が違うので、それで分かります。
担当者はその場で納得して、調査はそのまま進みました。もめてもいませんし、書類を出したわけでもありません。
言わなければ石材のまま記録されていたのか、あとで図面と突き合わせて気づいてもらえたのか。そこは分かりません。ただ、その場で確認できたことは確かです。
我が家の家屋分は10万1,942円
家屋164㎡で、固定資産税相当額は101,942円でした。
課税明細書に載っている、家屋の行の金額です。土地は含んでいません。
| 項目 | 金額(年額) |
|---|---|
| 固定資産税相当額 | 101,942円 |
| 都市計画税相当額 | 34,450円 |
| 合計 | 136,392円 |
| 価格(評価額) | およそ1,140〜1,150万円 |
土地とあわせた年額は、およそ18万円です。差し引くと土地分は4万円台になります。
土地のほうが家屋より安いのは、住宅が建っている土地の課税標準が下がる決まりがあるためです。
根拠は地方税法第349条の3の2です。住宅用地は、価格の3分の1が課税標準になります。
面積が200㎡以下の部分は、さらに下がって6分の1です。
延床50坪という広さについては、家づくりの記事のほうにも書いています。


床材で評点が分かれる総務省の基準
床の仕上げ材ごとに、付ける点数が決まっています。
家屋の評価は、担当者の裁量ではありません。総務省が定めた固定資産評価基準という文書があり、そのなかの再建築費評点基準表という表を使います。
再建築費評点数 = 同じ家をいま建て直すとしたら、いくらかかるかを点数にしたもの。この点数に古さの補正をかけて評価額を出します。
木質系床仕上と石材系仕上は別項目
木造の専用住宅では、床の仕上げが次のように分かれています。
- 木質系床仕上(上・中・並)
- カーペット(上・並)
- 石材系仕上(特・上・中・並)
- 畳(上・並)/タイル(大・中・小)
- 合成樹脂張床・合成樹脂塗床・着色コンクリート・モルタル ほか
石材系仕上と木質系床仕上は、別の項目です。石目柄のフローリングは木質系床仕上にあたります。
見た目が石でも、材料が木なら木質系です。家屋調査で床を見られるのは、この振り分けをするためだと考えています。
標準評点数は3.1倍の開き
石材系のいちばん安い区分でも、木質系の中位より高くなります。
| 評点項目 | 標準評点数 |
|---|---|
| 木質系床仕上 並 | 3,390 |
| 木質系床仕上 中 | 5,680 |
| 木質系床仕上 上 | 8,340 |
| 石材系仕上 並 | 17,440 |
| 石材系仕上 中 | 24,170 |
| 石材系仕上 上 | 34,270 |
| 石材系仕上 特 | 48,810 |
木質系床仕上の中は5,680、石材系仕上の並は17,440です。
いちばん安い石材でも、3.1倍になります。床は家のなかで面積の大きい部分なので、区分が1つ違うと全体に効きます。
評点数から税額は逆算できない
点数の差が、そのまま税額の差になるわけではありません。
評点数が金額になるまでの手順です。急ぐ方は飛ばしてください。標準評点数は、工事原価に相当する費用の1円を1点として表したものです。ただし評価額を出すには、経年減点補正率と評点一点当たりの価額をかけます。評点一点当たりの価額は、1円に物価水準による補正率と設計管理費等による補正率をかけて決まります。木造の設計管理費等による補正率は1.05、物価水準による補正率は市によって0.90から1.00の幅があります。
そのため、点数に面積をかけて円に読み替えることはできません。
石材系で記録されていたら我が家の税額がいくら増えたのか、私には分かりません。実際には木質系で処理されているので、比べる相手が存在しないためです。言えるのは「評点項目が別で、標準評点数に3.1倍の開きがある」ところまでです。
説明は裏ワザではなく法の手続き
地方税法は、納税者への質問を評価の方法に挙げています。
家屋調査を「固定資産税を安くする裏ワザ」として説明する記事を見かけます。私は逆だと考えています。
地方税法第403条第2項には、こう書かれています。
固定資産の評価に関する事務に従事する市町村の職員は、総務大臣及び道府県知事の助言によつて、且つ、納税者とともにする実地調査、納税者に対する質問、納税者の申告書の調査等のあらゆる方法によつて、公正な評価をするように努めなければならない。
納税者とともにする実地調査、納税者に対する質問。この2つが、公正な評価をするための方法として並んでいます。
つまり、施主が答えることは抜け道ではありません。法律がはじめから組み込んでいる手順です。
調査そのものの根拠は第408条にあります。市町村長は固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地に調査させなければならない、という条文です。
安くしてもらうために言うのではなく、実物と違う記録にしないために言う。私はそう受け止めました。
軽減が効くのは120㎡分まで
我が家は164㎡なので、44㎡分は軽減の対象外です。
新築の住宅には、固定資産税を2分の1にする決まりがあります。ただし全部の面積が対象になるわけではありません。
地方税法施行令の附則第12条に、居住部分の床面積が120㎡を超える場合は上限として扱う、と書かれています。


課税明細書の2つの数字から、この決まりが効いているかを確かめられます。
都市計画税には新築の減額措置がありません。そこから課税標準を割り戻して、固定資産税のほうを計算し直す方法です。
| 状態 | 家屋分の固定資産税(年額) |
|---|---|
| 軽減がない場合(試算) | 160,767円 |
| 我が家の実際(課税明細書) | 101,942円 |
| 全面積が対象なら(試算) | 80,383円 |
試算した金額と、課税明細書に載っている実際の額との差は8円でした。
この一致から、我が家では120㎡の上限が実際に効いていると考えています。軽減そのものの効果は年およそ58,800円です。
いっぽうで、上限があるために全面積が対象の場合より年21,559円多く払っています。広い家ほど、軽減の恩恵は薄くなる仕組みです。
明細書の「長期優良減額R09迄」
軽減は令和9年度で終わると印字されていました。
課税明細書には、家屋の欄に短い注記が入ります。我が家のものには「長期優良減額R09迄」と書かれていました。
この1行から、2つのことが読み取れます。
- 一般の住宅の軽減ではなく、認定長期優良住宅としての軽減を受けている
- その軽減は令和9年度分で終わり、令和10年度から上がる
戸建ての軽減は、一般の住宅なら3年間です。認定長期優良住宅だと5年間になります。
その区分は、国土交通省の令和8年度税制改正概要に載っています。
我が家の家屋への課税は、入居の翌年にあたる令和5年度から始まりました。
そこから5年度分と数えると、令和9年度まで。明細書の印字と合っています。
長期優良住宅の認定には申請費がかかりました。我が家の見積書では、補助金の申請費と合算された1行で35万円です。内訳は分かりませんが、固定資産税の軽減が2年ぶん延びることは、その見返りのひとつだと考えています。


長期優良住宅の基準そのものは、床下収納の記事のほうで告示を引いて確かめています。


2026年に変わった床面積要件
下限が50㎡から40㎡に下がりました。
これから建てる人には、我が家のときと違う条件がかかります。制度が令和8年度に変わったためです。
| 項目 | 現在の内容 |
|---|---|
| 減額の内容 | 税額を2分の1に軽減(戸建て3年間/マンション5年間) |
| 認定長期優良住宅 | 戸建て5年間/マンション7年間 |
| 床面積の要件 | 40㎡以上240㎡以下 |
| 減額の対象 | 居住部分の120㎡相当分まで |
| 適用期限 | 令和13年3月31日まで |
国土交通省の資料によると、この措置は令和13年3月31日まで5年間延長されました。
あわせて、床面積の下限が原則40㎡に緩和されています。いっぽうで、一定のハザードエリア内にある住宅は対象外になりました。土地を選ぶ段階に関わる変更です。
東京都特別区の特定都市再生緊急整備地域では、下限が50㎡のまま据え置かれています。
自治体のページや住宅系メディアには、いまも古い要件のまま書かれたものが残っています。調べるときは、地方税法施行令の条文か、お住まいの市町村の窓口で確かめてください。
我が家1軒の記録から言えないこと
税額がいくら変わったかは、誰にも分かりません。
① 石材で記録された場合との差は出せない。我が家は木質系で処理されています。石材系だった場合の評価額が存在しないので、差額を計算する相手がいません。標準評点数の開きが3.1倍だ、というところまでが確認できる範囲です。
② 評点基準表は改定されている。ここで使った標準評点数は令和3基準年度のもので、我が家が調査を受けた時点の基準です。総務省の資料によると、令和6基準年度では標準評点数が令和4年7月の東京都の物価水準で算定し直され、用途別区分の呼び名も変わりました。いまの数字は、この記事の数字とは違います。床材の種類で評点項目が分かれる仕組み自体は変わっていません。
③ 税率は市町村が決められる。試算では標準税率の固定資産税1.4%、都市計画税0.3%を使いました。実際の税率は自治体ごとに違い、都市計画税がない自治体もあります。
④ 我が家1棟の課税明細書です。木造・延床164㎡・認定長期優良住宅という条件での金額で、平均でも相場でもありません。地域が違えば評価額も税率も変わります。
⑤ 私は税の専門家ではありません。制度の適用や個別の判断については、お住まいの市町村の資産税担当か税理士に確認してください。


家屋調査の前にそろえておくもの
仕上表と図面を1か所にまとめておくと早く終わります。
担当者は設計図を見ながら、実物と合っているかを確かめていきます。手元に同じものがあれば、聞かれたその場で答えられます。
- 仕上表。床・内壁・天井の材料が部屋ごとに書かれた表です
- 平面図と立面図。担当者の図面と食い違いがないか確かめられます
- 見た目と材料が違うものの一覧。石目柄のフローリング、木目柄のシートなど
- 設備の型番。キッチン・浴室・給湯器・床暖房・全館空調など
- 変更した箇所のメモ。着工後に仕様を変えた部分があれば書き出しておきます
3つめが我が家で効いた項目です。見た目と材料が違うものは、こちらから先に言ったほうが早く済みます。
安くしてもらうためではありません。図面のとおりに記録してもらうためです。
入居直後にやることは、別の記事にまとめています。


家屋調査についてよくある質問
- 家屋調査は断れますか
-
我が家は受けたので、断った場合にどうなるかは分かりません。地方税法第408条は、市町村長が固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地に調査させなければならないと定めています。取り扱いはお住まいの市町村にご確認ください。
- どのくらい時間がかかりますか
-
我が家は担当者が1人で来て、1時間ほどでした。入居してから2か月ほどあとです。部屋数や設備の量で変わると思います。
- 床材で固定資産税は変わりますか
-
総務省の固定資産評価基準では、床の仕上げごとに評点項目が分かれています。木質系床仕上の中が5,680、石材系仕上の並が17,440で、3.1倍の開きがあります(令和3基準年度・延べ床面積1.0㎡当たり)。ただし評価額を出すには経年減点補正率と評点一点当たりの価額をかけるため、点数の差がそのまま税額の差にはなりません。
- 新築の軽減は何年で終わりますか
-
戸建てなら一般の住宅で3年間、認定長期優良住宅で5年間です。我が家は2022年12月入居で、課税明細書に「長期優良減額R09迄」と印字されていました。令和9年度で終わり、令和10年度から上がります。
- 軽減は家全体にかかりますか
-
居住部分の120㎡相当分までです。地方税法施行令の附則第12条に、床面積が120㎡を超える場合は120㎡として算定すると書かれています。我が家は164㎡なので、44㎡分は対象外になります。


家屋調査と固定資産税のまとめ
我が家の家屋調査は、1人で1時間、設計図と実物を突き合わせる作業でした。
- 1階の床を石だと思われかけたので、石目柄のフローリングだと伝え、叩いた音でも確かめてもらった
- 家屋分の固定資産税相当額は101,942円、都市計画税相当額は34,450円だった
- 床の仕上げは評点項目が分かれていて、木質系床仕上の中と石材系仕上の並で3.1倍の開きがある
- 地方税法第403条第2項は、納税者への質問を公正な評価の方法として挙げている
- 軽減は居住部分の120㎡相当分まで。我が家は164㎡なので年21,559円ぶん薄まっている
- 課税明細書の「長期優良減額R09迄」から、令和10年度に上がると分かる
当日いちばん役に立ったのは、床を叩いてもらったことでした。書類を出すより早く、その場で決着します。
見た目と材料が違うものが家にあるなら、聞かれる前に言っておく。それだけで済む話だったと思っています。
出典一覧
- 総務省「固定資産評価基準 第2章 家屋」木造家屋再建築費評点基準表「専用住宅用建物」(令和3基準年度・適用は令和3〜5年度)
- 総務省 自治税務局資産評価室「固定資産評価のしくみについて(家屋評価)」令和6基準年度における固定資産評価基準の改正について(家屋関係)
- e-Gov法令検索「地方税法」第403条・第408条・第349条の3の2(昭和25年法律第226号)
- e-Gov法令検索「地方税法施行令」附則第12条第3項・第4項(昭和25年政令第245号)
- 国土交通省「令和8年度税制改正概要」新築住宅に係る税額の減額措置の延長(令和7年12月)
