我が家の確認申請では、構造と省エネの審査が省かれていました。
2025年4月にその区分がなくなり、同じ家を建てるなら審査期間の上限は5倍になります。
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- 我が家の確認申請で、何が審査されていなかったのか
- 新しい区分を分けているのが面積ではなく階数だということ
- 省エネ基準に適合させる義務を、法律が誰に負わせているか
- いま見積書のどの行を見ればいいか

家を建てた記録をブログに書いていると、古くなる話と古くならない話があります。
我が家は2022年に建ちました。そのあと、家づくりのルールのほうが変わりました。
調べてみると、我が家は審査を省略してもらえる側の建物でした。いまは同じ家がその側にいません。何がどう変わったのかを、自分の記録と条文で並べます。
【結論】構造と省エネの審査を省いた確認申請
我が家の確認申請では、構造と省エネの図書を出していません。
契約したのは2021年6月です。
着工したのは、その8か月後でした。
この時系列はウッドショックの追加請求は0円だったにまとめてあります。
建物は木造の2階建てです。課税明細書に載っている延床面積は164㎡で、出どころは家屋調査で床を石と間違われたにあります。
当時、この規模の木造住宅は「4号建築物」と呼ばれていました。建築士が設計したものは、確認申請の審査が一部省かれます。
その扱いが2025年4月に変わりました。
| 項目 | 我が家(2022年2月着工) | 2025年4月以降 |
|---|---|---|
| 確認申請の区分 | 4号建築物 | 新2号建築物 |
| 構造関係の図書 | 提出不要 | 提出が必要 |
| 省エネ関係の図書 | 提出不要 | 提出が必要 |
| 審査期間の上限 | 7日 | 35日 |
審査が省かれていたのであって、守らなくてよい基準があったわけではありません。構造の規定も省エネの考え方も当時から存在していて、変わったのは「役所や検査機関がそれを見るかどうか」です。
新2号と新3号を分ける階数という一線
分かれ目は面積ではなく階数でした。
建築基準法は、確認が必要な建築物をこう書き分けています。
前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物
「又は」でつながっているので、どちらか一方に当たれば該当します。これが通称の新2号建築物です。
延床164㎡ではなく2階建てで決まった区分
我が家の延床面積は164㎡で、条文が書いている200㎡には届いていません。
それでも新2号になります。2階建てだからです。面積がどれだけ小さくても、階数のほうで決まります。
審査の省略が残るのは、そのどちらにも当たらない建物だけです。建築基準法は省略の対象を「第六条第一項第三号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの」と定めています。
ここでいう第三号は、ほかのどれにも当たらない建物を指します。木造なら、平屋で200㎡以下がここに入ります。
ロコズもし我が家が平屋だったら、いまでも審査が省かれる側にいたことになります。面積の話だと思い込んでいたので、条文を読んで意外でした。
7日から35日になった審査期間の上限
法律が定める審査の上限は、7日から35日に変わりました。
建築基準法は、審査にかけてよい日数の上限を区分ごとに定めています。
建築主事等は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号又は第二号に係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第三号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し(以下略)
新3号にあたる建物なら、上限は7日です。
新2号は35日で、我が家の型はこちら側へ移りました。
同じ家でも、上限が5倍になった計算です。


これは上限であって、必ずその日数がかかるという意味ではありません。実際に何日かかるかは申請先によって違います。
確認済証が出るまで着手できない決まり
審査の日数が工期に効くのは、工事を始められる時期が法律で縛られているからです。
建築基準法は「第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ…工事は、することができない」と定めています。書類が下りるまで、基礎も掘れません。
さらに、合理的な理由があるときは35日の範囲で期間を延ばせるとされています。
延長されると、上限は最長で70日になります。
我が家は契約から着工まで8か月かかりました。ただしその大半は設計と仕様を決めていた時間で、審査を待っていた期間ではありません。
省エネ基準に適合させる義務を負う建築主
省エネの義務を、法律は施主本人に負わせています。
建築主は、建築物の建築(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める規模以下のものを除く。)をしようとするときは、当該建築物(増築又は改築をする場合にあっては、当該増築又は改築をする建築物の部分)を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならない。
主語はハウスメーカーでも設計者でもなく、建築主、つまり家を建てる本人です。
除外されるのは床面積10㎡以下の建物だけだと、国土交通省の質疑応答集に書かれています。住宅はまず当てはまりません。
省エネ適合判定を省ける仕様基準という道
義務があっても、判定の手続きまで必ず要るわけではありません。
建築物省エネ法は、着工前に所管行政庁の適合性判定を受けることを求めています。
判定の通知は14日以内で、さらに28日の範囲で延長できるとされています。
ただし国土交通省のチラシには「仕様基準で評価する場合は省エネ適判は不要です」と書かれています。仕様基準は、決められた断熱材の厚みや設備の仕様に合わせることで基準を満たしたとみなす方法です。
私の受け止めです。計算をするか仕様表に合わせるかは設計側が選ぶ話で、施主が指定するものではないと思います。ただ、どちらを取ったかで手続きの時間が変わるので、聞いておく価値はありそうです。
質疑応答集には「床面積10㎡以下の建築物等は適合義務の対象外となりますが、その他の建築物については、確認審査が不要であっても適合義務対象となります」ともあります。審査されないことと、義務がないことは別です。
重い屋根と軽い屋根の区分を廃止した壁量計算
必要な壁の量を求める式そのものも変わりました。
国土交通省のチラシは、3つめの改正を「木造戸建住宅の壁量計算等を見直し!」として、こう書いています。
- 算定式に基づき、壁量および柱の小径を算定
- 表計算ツール・早見表(試算例)を使用可能
- 重い屋根・軽い屋根等の区分を廃止
瓦のような重い屋根か、金属のような軽い屋根かで表を選ぶ方式が終わり、建物ごとに計算する方式になったということです。
ここで注意が要るのは、木造2階建てには構造計算そのものが必須ではないという点です。
建築基準法が構造計算を求めるのは、木造なら階数3以上か延べ面積300㎡超のものです。
それ以外は、政令で定める技術的基準に適合すればよいとされています。壁量計算はここに入ります。
打ち合わせで「構造計算」という言葉は出ていました。ただそれが許容応力度計算を指していたのか、壁量計算などの仕様規定の検討を指していたのかは、私の記憶では区別できません。図面を確認していないので、どちらとも書きません。
任意で払った申請費35万円との境目
我が家が払った35万円は、義務ではなく任意の申請費でした。
2021年に受け取った資金計画書に、その費用が載っていました。
項目名は「長期優良住宅申請+グリーン住宅ポイント申請費」で、金額は350,000円です。記録は申請費が補助金と同額だった話にあります。
長期優良住宅の認定も補助金の申請も、当時はやらなくてもよいものでした。それでも家の性能を書類にする作業は発生し、費用も発生しています。
2025年4月からは、省エネ関係の図書が確認申請に要ります。つまり我が家が任意でやった作業と重なる部分が、制度の側に移りました。
この金額がそのまま義務化されたという意味ではありません。2つの申請をまとめた1行で、内訳は我が家でも分かっていません。いま建てる人にいくらかかるかも、私は数字を持っていないので書けません。
義務化の対象から外れたC値0.47
我が家がいちばん気にした数字は、義務の項目に入っていません。
引き渡し前に第三者へ依頼して測ったC値は0.47でした。家全体の隙間を合計した大きさを表す数字で、記録はC値0.47だった気密測定にあります。
いっぽう省エネ基準が見るのは、外皮の性能と一次エネルギー消費量です。気密の測定値は基準の項目になっていません。
義務化された内容と、住んでからの体感を左右する数字は、必ずしも同じではないということです。基準を満たすことと、快適さを詰めることは別の作業になります。
私の考えです。C値が無意味だという話ではありません。義務ではないからこそ、やる会社とやらない会社に差が出る項目だと受け止めています。
持家が20万戸を割った2025年度の着工
2025年度の持家の着工は、195,111戸まで落ちました。
前年度からは12.6%の減少です。持家は施主が自分のために建てる家なので、注文住宅を建てる人の数に近いものだと考えてよいと思います。
| 年度 | 持家の着工戸数 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 令和4年度 | 248,132戸 | −11.8% |
| 令和5年度 | 219,633戸 | −11.5% |
| 令和6年度 | 223,167戸 | +1.6% |
| 令和7年度 | 195,111戸 | −12.6% |


新設住宅の全体でも、令和7年度は711,171戸まで落ちています。
こちらは前年度比で12.9%の減少です。
駆け込みと反動で前年比が読めなくなる月
月ごとの数字は、そのままでは読み違えます。
施行をはさんだ前後の月と、その1年後を並べておきます。
| 月 | 新設住宅着工戸数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 2025年3月 | 89,802戸 | +39.6% |
| 2025年4月 | 56,188戸 | −26.6% |
| 2025年5月 | 43,237戸 | −34.4% |
| 2026年3月 | 63,495戸 | −29.3% |
目を引くのは、施行の直前にあたる月の増え方です。
表のいちばん下を「1年たっても戻っていない」とは読めません。比べた相手が、突出して多い月だからです。実勢を見るなら年度の数字を使うべきで、この記事でもそうしています。
なお国土交通省の報告書は、月ごとの増減を淡々と書くだけで、法改正が理由だとは述べていません。時期が重なっているという事実だけを、ここでは置いておきます。
我が家1棟と未確認の書類という限界
ここから先は注記なので、急ぐ方は次の見出しまで飛ばして構いません。
この記事で確かめられていないことを、まとめて書いておきます。
- 確認済証と検査済証の中身を見ていません。手元にあるはずだという程度の認識で、書類を開いて確かめてはいません。区分の判定は、公開済みの延床面積と階数から条文に当てはめたものです
- 打ち合わせに出た「構造計算」がどちらの意味か特定できていません。許容応力度計算だったのか、仕様規定の検討だったのかは書いていません
- 我が家のUA値を持っていません。公式サイトが示す数値は現行商品のもので、我が家の仕様とは別です。断熱等級も確認していないので書いていません
- 長期優良住宅の認定を受けた日を確認していません。認定の基準は2022年10月に引き上げられていますが、我が家がどちらの基準で認定されたかは断定しません
- 契約から着工までの8か月は、審査を待った時間ではありません。設計と仕様決めを含む期間です。改正後の審査期間と並べて比べられる数字ではありません
- 2025年4月以降に建てた人の実額を持っていません。申請にいくらかかるようになったのか、工期がどれだけ延びたのかは書けません
- 我が家1棟・2022年の記録です。会社によっても地域によっても運用は違います
いま見積書で確かめる3つの行
これから建てる方が見るとよいのは、申請に関わる3つの行です。
- 確認申請の費用。審査の対象が増えたので、金額も日数も以前と同じとは限りません
- 省エネの評価にかかる費用。計算で評価するのか仕様基準で評価するのかを聞くと、適合性判定が要るかどうかも分かります
- 長期優良住宅や補助金の申請費。こちらは今も任意です。義務の分と一緒の行になっていないか見ます
我が家の見積書では、申請費が2つ合わさって1行になっていました。同じ家でも会社によって乗せ方が違うので、並べないと高いか安いかは判断できません。
実際に3社の見積書を横に並べたときの記録が次の記事です。同じ名前の項目が会社によってまるで違う金額になっていました。


すでに建てた方は、確認済証と検査済証が手元にあるかだけ見ておくと安心です。売却やリフォームのときに必要になります。
よくある質問
- 2025年4月より前に建てた家は、いま違法になるのですか
-
なりません。国土交通省のチラシは「2025年4月以降に工事に着手するものが対象です」と書いています。区切りは契約日でも確認申請日でもなく、工事に着手した日です。
- 木造2階建てなら、面積が小さくても新2号建築物ですか
-
該当します。建築基準法6条1項2号は「二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物」と定めており、階数だけで当てはまります。我が家は164㎡ですが2階建てなので、いま建てるなら新2号です。
- 審査には必ず35日かかるのですか
-
35日は法律が定めた上限です。建築基準法6条6項には、合理的な理由があるときに35日の範囲で延長できるとあり、その場合の上限は70日になります。実際の日数は申請先によって違うので、会社に聞くのが確実です。
- 省エネの適合性判定は必ず受けるのですか
-
受けない道があります。国土交通省のチラシに「仕様基準で評価する場合は省エネ適判は不要です」と書かれています。ただし判定を受けないだけで、基準に適合させる義務そのものは残ります。
2025年に変わった建築確認のまとめ
自分の家の書類を条文に当てはめてみて、分かったことが3つありました。
- 我が家は構造と省エネの審査が省かれる区分で、いま同じ家を建てるとその図書を出すことになる
- 区分を決めるのは面積ではなく階数で、審査期間の上限は7日から35日に変わった
- 省エネ基準に適合させる義務を負っているのは、条文上は建築主つまり施主本人
古い記録だと思っていたものが、比べる相手ができたことで役に立ちました。制度が変わるたびに、建てた年が意味を持つようになります。
いま家を建てる方は、審査が増えたぶんの時間と費用がどこに乗るのかを、早めに聞いておくといいと思います。
出典一覧
- e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号)第6条第1項・第4項・第6項・第8項/第6条の4第1項/第20条第1項
- e-Gov法令検索「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」(平成27年法律第53号)第10条・第11条
- 国土交通省「2025年4月から ルールを改正します!全ての新築で省エネ基準適合を義務化!」(2024年4月版)
- 国土交通省「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)に係る質疑応答集」(令和8年8月6日時点)
- 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和8年3月分)」資料2 新設住宅着工・利用関係別戸数(令和8年4月30日公表)
- 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年3月分)」資料1 概要(令和7年4月30日公表)
- 法令は2026年9月12日、そのほかは2026年9月11日に取得しました
