雨に濡れた床合板を全部張り替えた我が家は、それから4年、カビも新しい床鳴りも出ていません。
この記事は約16分で読めます。

建築中の現場に雨が降ると、この家は大丈夫なのだろうかと不安になります。
我が家は上棟のあと、外壁に防水シートを張らないまま梅雨と台風の時期をまたぎました。床の下地に使う合板は水を吸い、最終的に1階も2階も全部張り替えることになりました。
その判断をしたのはハウスメーカーではありません。私が自分で呼んだ第三者の検査でした。
この記事では、そのとき測った含水率の実測値と、検査にかかった金額の内訳、そして4年住んだいまどうなっているかを書きます。
上棟後2か月の放置で起きたこと
屋根まで組んだところで、工事が2か月止まりました。
木造の家は、骨組みを組んだあと屋根を葺き、外壁の下地材に防水シートを張るところまでを続けて進めます。ここまで行けば、多少の雨が降っても中まで濡れません。
我が家はその防水シートの手前で止まりました。前の現場監督が現場を離れることになり、次の担当と大工が決まるまで時間がかかったためです。
止まっていたのは、梅雨と台風の時期でした。外壁の下地材は濡れては乾くのを繰り返し、水は床まで入りました。
工事が再開したとき、私は現場監督に「濡れた下地材をそのまま使って本当に問題ないのか」と聞いています。下地材の製造元にも自分で電話をかけました。
返ってきたのは「具体的なデータはないが、製品として使用可能ではあると思う。交換すべきかどうかはハウスメーカーの判断になる」という答えでした。
このときは外壁の下地材だけが無償で交換されています(梅雨と台風に2カ月間さらされた我が家とアイ工務店の対応)。
問題は家の中に残りました。床材の表面は黒く変色し、素人が見ても普通ではないと分かる状態でした。

見えている部分はまだ判断できます。分からないのは、木の内部がどうなっているかでした。
探したのは施主、払ったのはメーカー
業者探しと日程調整は私がやり、費用はハウスメーカーが負担しました。
現場監督とやり取りしても「カビかどうかは調べないと何とも言えない」という答えから先に進みませんでした。そこで第三者に見てもらうことにしました。
建てている側にとって、第三者の検査は歓迎するものではありません。頼みたいときは施主が動くことになります。私はホームインスペクションを扱う会社を自分で探し、電話で家の状況を伝えて、現場監督と日程を合わせました。
依頼したのは、床材・柱・筋交い・梁の水分量の測定と、その他の目視チェックです。

検査当日の前日に大雨が降り、屋根材の一部が壊れて雨漏りが起きました。結果として、測るまでもなく濡れている箇所が増えた状態で検査を受けています(建築中の雨の影響をホームインスペクションで検査した結果)。
私の考えです。自分で呼んだからこそ、報告書は私宛に届きました。ハウスメーカーが手配した検査だったら、同じ結果が出ても私の手元には残らなかったかもしれません。
13万4,100円という検査の実額
請求は134,100円でした。
ホームインスペクションの費用は、検査の範囲と現場までの距離で変わります。我が家の場合の内訳をそのまま出します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 含水率の測定 | 80,000円 |
| 報告書の作成 | 20,000円 |
| 出張費 | 7,500円 |
| 交通費 | 15,850円 |
| 合計 | 134,100円 |
測定そのものが80,000円で、報告書の作成が20,000円です。書面にまとめる作業が別料金になっていました。
交通費の15,850円は、現場が遠かったぶんです。ここは家の場所で変わります。
この金額を払ったのはハウスメーカーでした。検査の結果を一緒に聞いたうえで、対応も費用の負担も引き受けています。
誰が払うかは決まっていません。我が家は負担してもらえましたが、立ち会いの費用を施主に請求される場合もあると当時聞いています。自分で払う前提で見積もりを取るほうが安全です。
そして報告書は、いまも手元に残っています。この記事に載せる数字は、そこから読み直したものです。
基準の3.8倍まで濡れていた床合板
床合板の含水率は、最大で53.8%ありました。
含水率は、木材にどれだけ水分が含まれているかを表す割合です。測定器の針を刺して、その場で読み取ります。
合板には国の規格があります。農林水産省の「合板の日本農林規格」は、構造用合板の含水率を14%以下と定めています。
報告書に載っていた実測値を、その14%と並べます。

左の2本が床合板です。棒の上端が測定値のいちばん高いところ、下端がいちばん低いところを表しています。
2階はいちばん乾いていた場所でも19.5%あり、14%を超えていました。
最大の53.8%は、基準の3.8倍にあたります。
右の6本は柱と筋交いと梁です。いちばん高かったのは1階の筋交いで、18.7%でした。
柱や梁は合板ではなく製材なので、当てはまる規格が違います。「製材の日本農林規格」は、含水率の基準を表示記号ごとに決めています。
D20と表示するものは20%以下、D25と表示するものは25%以下です。
製材の基準は「乾燥処理を施した旨の表示をするものにあっては」という条件つきです。我が家の柱や梁にどの記号が付いていたかは確認していないので、合格・不合格を判定はしていません。
それでも図の形はそのまま読み取れます。濡れていたのは床合板だけで、柱も梁も筋交いも同じようには濡れていませんでした。
インスペクターの結論も同じでした。床合板は1階2階とも交換を推奨、梁や柱は目安の範囲内なので問題なし、という判定です。
濡れた合板を測る現場基準の不在
14%は出荷時の規格であって、現場の判定基準ではありません。
ここは誤解しやすいところなので、はっきり書いておきます。農林水産省の規格が定めている14%以下は、合板が工場から出るときに満たしているべき数値です。
現場に運ばれた合板が雨で濡れたあと、何%を超えたら張り替えるべきか。そこまでは書かれていません。
私が探した範囲では、濡れた合板を現場で判定するための公的な基準は見つかりませんでした。木は乾けば含水率が下がるので、いつ測るかでも数字が変わります。
つまり「交換するかどうか」は、誰かが判断するしかありません。
その判断を建てている側だけに任せると、施主には確かめる手立てが残りません。我が家が13万4,100円を払う価値があったのは、まさにここでした。
私の考えです。測定そのものより、数値と判定が書面で残ったことが効きました。口頭のやり取りだけなら「様子を見ましょう」で終わっていた可能性があります。
床版という10年守られる部位
床の下地は、法律が10年の責任を課している部位です。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の第94条は、家を新築した請負人に、引き渡しから10年間の責任を負わせています。対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」です。
その中身は施行令の第5条に並んでいます。基礎、壁、柱、小屋組、土台、斜材、そして床版、屋根版、横架材です。
合板の規格のほうも、同じ言葉を使っています。構造用合板の定義は「建築物の構造耐力上主要な部分に使用するもの」です。
つまり床の下地の合板は、10年守られる側にあります。
一方で、その上に張るフローリングの表面と壁紙は、この10年には入りません。
そちらはハウスメーカーが独自に決めた期限で、我が家の場合は2年でした(アイ工務店の初期保証と点検の記録)。
同じ「床」でも、下地と表面で守られる年数が違います。表面のきしみや浮きは短い期限のうちに指摘するしかありません。
全交換の中身と残った黒ずみ
剥がして、乾かして、張り直すまでが是正工事でした。
ハウスメーカーは検査の結果をその場で受け入れ、次の対応を実施しています。
- 1階と2階の床合板を全部剥がす
- 基礎の中にたまった水をすぐに除去する
- 基礎が乾くまで工事を進めない
- 合板が接していた土台や梁にカビ処理をする
床合板の下には断熱材も入っていたので、こちらも切り取って新品になりました。
基礎の中の水は、大工さんがスポンジで吸い出したあと、数日かけて自然乾燥させています。

張り直した合板はきれいな木の色に戻りました。工事の様子は別の記事に写真で残しています(新築家屋の床交換!雨害後のホームインスペクション結果を受けた是正工事)。
ただし、全部がきれいになったわけではありません。構造の都合でどうしても外せない箇所があり、そこには黒いシミが残りました。

この上にフローリングを張ったので、いまはもう見えません。残っていることは分かっていて、確かめる手段がない状態です。
是正工事が終わったのは2022年9月ごろでした。入居はその3か月ほどあとになります。
4年住んで出なかったカビとにおい
カビは出ていません。においもありません。
検査のとき、インスペクターは2つの警告をしています。このまま家を建てると、カビの発生や床鳴りなど大きな問題に発展する、というものでした。
1階の天井には、見た目にはっきり出ていた箇所もありました。検査のあとに聞いたところ、ほぼ間違いなくカビだろうという話でした。

是正工事から4年が経ちました。
住んでいて、カビを見つけたことはありません。部屋に入ったときのにおいも感じません。
入居してから定期点検は3回来ていて、床下も見てもらっています。そこで指摘された不具合もありませんでした。
これを「防カビ処理が効いた」とは書けません。処理をしなかった場合と比べていないからです。分かるのは、剥がして乾かして張り替えた家で、4年のあいだカビが出ていないという事実だけです。
鳴った1か所の原因は雨ではなく釘
床鳴りは1か所出ましたが、原因は雨ではありませんでした。
警告された症状のうち、床鳴りのほうは実際に起きています。歩くと小さく音が鳴る場所が1か所あり、見つけたのは私ではなく点検に来た担当者でした。
調べてもらった原因は、建築のときに余計な釘が打たれていたことでした。その釘を抜いて、床下につかえを入れて直しています。費用はかかっていません。
濡れた合板が乾いて反ったのではなく、施工の側の話だったということです(点検3回で壁紙を交換させた記録)。
そのほかの場所は、4年住んで鳴っていません。直した1か所も、その後また鳴るようにはなっていません。
入居してから私が払った修理費は、合計しても0円のままです(入居後の修理費の記録)。
私の考えです。警告は外れたのではなく、警告どおりにならないよう手を打ったから起きなかったのだと思っています。ただしこれは証明できません。
我が家1棟の記録という限界
ここに書いたのは、我が家1棟に起きたことです。急ぐ方は次の見出しまで飛ばしてください。
限界を4つ挙げます。
- 濡れたまま建てた場合にどうなるかは分かりません。我が家は全部張り替えた側なので、比べる相手がいません。「雨に濡れても大丈夫」という話には使えません
- 金額は我が家の条件のものです。134,100円のうち15,850円は交通費で、現場までの距離で変わります。検査の範囲も、床材・柱・筋交い・梁の水分量測定と目視に限っています
- 時期は私の記憶によるものです。是正工事が終わったのは2022年9月ごろで、日付までの記録は残っていません。当時の記事にも年月を書いていませんでした
- 床下の黒ずみは確かめられません。フローリングの下なので、いま何が起きているかを見る手段がありません。4年のあいだに表へ出てきた不具合が無い、という言い方までです
ホームインスペクションを入れれば必ず対応してもらえる、とも書けません。我が家は2か月止めてしまったという事情があったうえでの特例だと説明されています。

建築中の雨についてよくある質問
- 建築中に雨に濡れた木材は交換してもらえますか
-
決まりはありません。我が家は第三者に含水率を測ってもらい、その報告書をもとに床合板の全交換になりました。測る前は「カビかどうかは調べないと何とも言えない」というやり取りで止まっていました。数値と判定が書面になったことが動いた理由だと思っています。
- ホームインスペクションはいくらかかりますか
-
我が家は134,100円でした。内訳は含水率の測定80,000円、報告書の作成20,000円、出張費7,500円(ここまで税抜)と、交通費15,850円です。交通費は現場までの距離で変わります。費用はハウスメーカーが負担しましたが、施主に請求される場合もあると当時聞いています。
- 含水率は何%なら問題ですか
-
現場で濡れた木材を判定する公的な基準は、私が探した範囲では見つかりませんでした。農林水産省の合板の日本農林規格は構造用合板の含水率を14%以下と定めていますが、これは出荷時の製品規格です。我が家の床合板は最大53.8%で、この14%の3.8倍にあたりました。
- 雨に濡れた家は何年か経ってから不具合が出ますか
-
我が家は是正工事から4年で、カビもにおいも出ていません。床鳴りは1か所ありましたが、原因は建築のときに打たれた余計な釘で、雨とは別の話でした。ただし我が家は床合板を全部張り替えた側なので、濡れたまま建てた場合の答えにはなりません。
雨に濡れた家の4年後のまとめ
上棟のあと2か月放置された我が家は、床合板を全部張り替えました。
要点は4つです。
- 濡れていたのは床合板だけだった。最大53.8%で、農林水産省が構造用合板に定める14%以下の3.8倍。柱と筋交いと梁は12.3〜18.7%に収まっていた
- 検査は134,100円だった。測定80,000円と報告書20,000円が中心で、支払ったのはハウスメーカー。ただし業者探しと日程調整は施主がやった
- 床の下地は法律が10年守る部位。品確法94条と施行令5条に「床版」がある。一方でフローリングの表面と壁紙は入らない
- 4年後にカビは出ていない。床鳴りは1か所出たが、原因は建築時の釘で雨ではなかった
現場に雨が降ったとき、施主にできるのは測ってもらうことです。濡れた木を現場で判定する公的な基準がない以上、誰かの判断に任せるしかありません。
その判断を建てている側だけに委ねないために、13万4,100円を使いました。
4年住んだいま、払う価値はあったと思っています。
出典一覧
- 農林水産省「合板の日本農林規格」/平成15年2月27日農林水産省告示第233号(最終改正 平成26年2月25日農林水産省告示第303号)。第2条の定義と、第6条から第4条第1項への含水率の基準
- 農林水産省「製材の日本農林規格」/平成19年8月29日農林水産省告示第1083号。構造用製材の含水率の区分
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条/同法施行令 第5条(住宅の構造耐力上主要な部分等)
- 含水率の実測値・費用の内訳・是正工事の内容は、我が家のホームインスペクション報告書と請求書より(2022年)
- 法令とJASは2026年9月20日に取得・確認
